8月30日(土)に開催されたSWEET LOVE SHOWERのオンラインイベント
- SWEET LOVE SHARE
当日、ソロで出演予定だったポルノグラフィティのボーカル岡野昭仁は、虫垂炎により急遽出演を見合わせた。
完全回復した岡野昭仁のライブは、とても力強く、そして切ないものだった。
岡野昭仁がラブシェ振替配信公演で見せた、力強く切ないソロライブ【SWEET LOVE SHARE】
虫垂炎での出演見合わせ
【イベント出演辞退のお知らせ】
岡野昭仁ですが、急遽体調不良により、病院での医師の診断を受けたところ、虫垂炎と診断されました。
つきましては8月30日(日)に予定しておりましたSWEET LOVE SHOWERのオンラインイベントへの出演をやむなく辞退させていただきますことをご報告させていただきます。— ポルノグラフィティ 公式 (@pg_koushiki) August 29, 2020
配信前日の8月29日、急性の虫垂炎により昭仁の出演見合わせが発表され、SNS上は体調を心配する声で溢れた。
コロナ禍のなかで、新しい曲が聴きたい、ライブが見たいなどの願望はもちろんありながらも、やはり大好きなアーティストが健康であることが一番の幸せなんだと思い知らされる。
当日の出演予定枠は、過去に出演した「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2017」の映像が流れ、もう1年以上二人が揃った姿を見ていない事実をあらためて感じた。
わたくし、無事に退院しております。多くの方々に大変なご迷惑とご心配をおかけしました。
もう全快間近でございます。
皆さまに元気な歌声をお届けできると思いますのでよろしくお願いします。岡野昭仁
— DISPATCHERS (@dispatcherssstv) September 1, 2020
本当に心配し、そして無事だという知らせが届いた時は心から安堵した。
早く元気に歌っている姿を見たいという気持ちでいっぱいになりながら、振替公演の知らせを待った。
たったひとりの振替公演
岡野昭仁が体調不良により出演を辞退させて頂いた、「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE」に関しまして、振替ライヴが 9/29(火)に決定致しました。
その他詳細は、イベントオフィシャルサイトにてご確認下さい。https://t.co/R8TIaRp0qB#岡野昭仁 #ラブシェ— ポルノグラフィティ 公式 (@pg_koushiki) September 25, 2020
振替公演当日は平日で都合がつかず、翌日にアーカイブで視聴した。
岡野昭仁だけの為に用意された時間。
SPACE SHOWER SWEET LOVE SHARE supported by au 5G LIVE 岡野昭仁(ポルノグラフィティ)生配信LIVE
結論から言うと、最高だった。
やはり昭仁が歌う姿を見れることが幸せだと思うこと。だだ、それと同時に「切ない」と思う気持ちもあった。
ライブの冒頭は昭仁の語りから始まる。
岡野昭仁と申します。本来であれば8月30日に出演予定でしたが体調不良により振替が今日になってしまいました。関係者各位の皆様にご迷惑をお掛けしました。機材等が二度手間になってしまって・・・。お金も時間も労力もかかったと思います。
そしてなにより画面を見ていらっしゃる皆さま、お待たせしました。心配をかけました。虫垂炎という、ひどくなったら命の危険もあるものなんですけれども、小学生がよくかかるやつにかかってしまいました。
神妙な面持ちで関係各位への感謝の気持ちを語った昭仁も、最後は少しはにかみながら、元気そうにギターを手にした。
昭仁が一人で贈る禊のライブ一曲目は、大ヒットした名曲を声高らかに弾き語る。
- メリッサ
お馴染みのベースラインから始まらない「メリッサ」だったが、明らかに音の質が良い昭仁のギターの音を画面越しに堪能する。
もはや東京ドームが“遠い日の記憶”になりつつあるほど、ライブからは遠ざかってしまった日常だが、大好きな歌声の一音目を聴くだけで一瞬であの幸せな空間の思い出が蘇ってくる。

毎回、「メリッサ」を聴くたびに思うのが、当時周りの誰もが見ていた大ヒットアニメの主題歌を歌っていた人なんだ。というファンながら誇らしい感情。ポルノをまた一つ有名にしたきっかけとなる楽曲に他のシングルとは違う“懐かしさ”や“思い出”が蘇る。
早くコロナ禍で感じる悲しみの息の根を止めて欲しい。
軽快にメリッサを歌い上げた昭仁は、2曲目に入る前に「安心する為に」と言い、画面の向こうから送られてくるメッセージに目を通した。
最高ですという声に嬉しそうな様子を見せ、安堵した感じも伝わる。
今回の振替配信に関しては、相方の晴一もラジオで笑いながら語っていた。
本当はみんなの前でリコーダーの発表する予定だったはずなのに、欠席してしまって後日、居残りでリコーダーを発表している感がある。緊張すると思う。
昭仁は「このコメントを聞いた」と自らの口でも語りながらツッコミを入れる。
その口ぶりからは隣に相方がいないことへの寂しさも感じた。
少しのトークを挟み2曲目に披露したのは、ギタージャンボリーやDISPATCHERSでも披露した新機軸的楽曲の弾き語りVer
- Zombies are standing out
ライブでの激しい照明と爆音の中で聴くゾンビとは違い、弾き語りにしても映える楽曲。本来ならしっとり歌うのが基本の弾き語りでも熱量の高いロックな歌唱を見せるボーカル昭仁であるからこそ、この楽曲の魅力を最大限に引き出すことが出来る。
ポルノとしての活動が止まり、音楽を欲しゾンビ化してしまったファンたちを鎮めるように画面を通して、耳から脳へ、心へストレートに響いてくる。
次の楽曲は予想外の一曲だった。この日、自身のYouTubeチャンネル「DISPATCHERS」でOfficial髭男dismの「Pretender」をカバーし公開した。

「Pretender」のカバーに関しては本人も手ごたえを感じているようで、「令和の名曲を恐れ多くも歌わせて頂きました」と言いながらも誇らしそうに笑顔を見せた。
歌の良さって技術云々より、楽曲を唯一無二のものに昇華させる表現力と再現性の高さだと思い知らされますね…
(再現性の高さとは同じことをいつもできるという意味ではなく、何を何度歌ってもその都度神懸かったニュアンスが生まれるという意味)
別格です。。感謝です。。。https://t.co/7x4PYK7EGf— 大輔 Official髭男dism (@daisuke_higedan) October 1, 2020
髭男の小笹大輔もカバーのクオリティに感動しているようで、当人たちに響いているのだから一般のファンの私たちに響かないわけがない。
今の昭仁の全てが詰まったような最高の仕上がりに涙を流してしまい、もっとカバー曲を聴きたいと思っていたなかにベストな選曲で選ばれたのが次の一曲。
- 青春の影
今回の振替公演で披露するカバーとして選ばれた「青春の影」は、昭仁・晴一、もちろんTamaも含む三人が生まれた1974年に生まれたチューリップの名曲。
1974という数字はポルノにとって非常に大切な数字で、過去のライブでもテーマになったことがある。
時代を超えて色あせない名曲の代表であるこの曲を、進化を続けるボーカリストが歌うと原曲とはまた違った物語、風景が浮かぶ。
どうしても昭仁が歌うと熱量が高くなる。良い方向に働く時もあるし、そうではない場合ももちろんあるが、しっとりしながらも情熱的な気持ちを感じるこのカバーは最高だった。
君の心へ続く 長い一本道は
いつも僕を勇気づけた
とてもとてもけわしく
細い道だったけど
今 君を迎えにゆこう
この曲は男女の歌だが、自分の恋愛だけでなく、人生の中で本当に大切なものとなった音楽と重ねてしまう部分がある。
昭仁の歌声は、いつも僕を勇気づけた。
ここで視聴者からの感想にも目を通す。拍手を意味する8888などに笑顔を見せ、本田△ (ほんださんかっけー)を知っている事なども話す。
昭仁△だよ、本当に。
次の曲の前に、今年の話に。
コロナ禍で当たり前が当たり前では無くなってしまったことへの悲しみ、この先への不安がある中で、「やまない雨はない」ということ。いつか収束し、新たな世界がやってくることへの希望を語る。
最近悲しいニュースを目にすることが多い。情報も錯綜し、本当か嘘かもわからないことで心が痛むこともある。
MCの中で昭仁が口にした一言
小さな幸せを見つけて欲しい。
この言葉がやけに心に沁みた。12月に配信ライブを行うことが発表された9月8日に感じた幸せのような未来への希望だけではなく、「日常の中で転がっている幸せ」は去年までの世界なら気付けなかったかもしれないが、今なら気付くことが出来るかもしれない。

そして次の言葉を言った後、曲に入る。
この状況が次なる新しい世界へ行く前兆
「前夜」みたいなことだと思う。
- 前夜
この選曲には涙した。ふるさとからの旅立ちを歌った楽曲だが、自分の中にある不安や希望と向き合い明日を目指す前向きな歌詞が今の状況で響く。
そして想像していた以上に弾き語りが映える楽曲だった。ギターの一音一音からも主人公の叫びが伝わり、後半にかけ喉がつぶれてしまうのではないかと思うような歌い方。
この曲では何にもない、孤独だと歌われているが、今の私たちにはポルノグラフィティがいる。きっと未来は明るい。
カバー曲を完全に自分のモノにした昭仁は、ポルノファン以外も見ているであろうこの空間を、さらにディープなポルノグラフィティの世界につれていった。
ここで時間を気にする昭仁。普段こういったソロでのライブはやらないことと、配信ライブも母体であるポルノでやってないのに自分が先にやることで緊張と不安があったようだ。
そんなことは感じさせない余裕があるのはさすがベテランミュージシャンといったところ。
その状況を踏まえたうえで、「音楽を届けれることが幸せだ」と言ってくれる昭仁を見れることが嬉しかった。
次に演奏するのは今やポルノにとって代表曲といっても良いナンバー
- オー!リバル
迷惑にならない程度に一緒に歌ったりして欲しいと伝え、弾き語りに入ったが、この曲はやはり一瞬で空気が変わる。シングルであるべき、名曲であるべきだとイントロから物語る。
サポートギターにtasukuが加入してからというもの昭仁がギターを持つことが減った。その分、歌に集中することが出来るので、近年歌唱力が向上した一つの要因だと思うが、そんな中でもギターの腕が格段に向上している。
開催が中止となり、ラジオ配信となったギタージャンボリーの弾き語りの時は失礼ながらも「あれ?こんなにギター上手くなったんだ」と思ってしまった。進化しているのは、歌だけではなかった。
オー!リバルのファンが歌うパートになり、「みなさんが歌う場面がきました」と言い、先に昭仁が「オレオレ」の掛け声を歌う。
歌ってるかな?みなさん、画面越しにでっかい声を出してくれてるかな?
でも、これが配信の悲しいところですか・・・このレスポンスが返ってこないのが悲しいところですね・・・。
涙が出た。本当に今の状況を悔しく思う。
お互いに健康で、音楽奏でることが出来る状況で、音楽が聴ける状況で、なぜこんなに距離があるんだろう。
レスポンスが欲しい昭仁は、スタッフに歌いませんか?と問いかけた。
しかし、画面からはあまり声が聴こえない。人数が少ないのか、恥ずかしがっているのか。
昭仁は器用にも歌いながら合間に訴えかける、さらなる声を求める。
ごめんね、みなさん。その程度じゃろーか、もっと行こう。
少しだが声が出て来た様子だった。
ありがとうございます、思い出になるじゃろう?「こいつ2回もやりやがって、二度手間のくせして」みたいな想いをぶつけてくれよ。
昭仁らしい問いかけに現場の空気が温かくなっていいるだろうことが手に取るようにわかる。
そして次は、画面の向こうの私たちに提案をしてきた。
ヘッドバンキングをして下さい。
は?
そうすると、明日首が痛いなと跡が残ると思うんです。その時に、昨日は参加したなという気持ちになれるんじゃないでしょうか?
ポルノのライブでは一度もヘドバンをしたことが無いので本当に無茶ぶりをしてくる。自ら、「オレオレ」の叫びと共にギターをかき鳴らし、必死のヘドバンを見せる。
以前「マシンガントーク」のモンキーダンスで首を負傷していながらも懲りないボーカルだ。やっぱりMなのかもしれない。
「ヘドバン!!ヘドバン!!!」と言いながら激しく頭を振り、必死でギターをかき鳴らす昭仁が突如止まる。
寒い?コレ?
スタッフから笑いが起きる。
大丈夫か確認した後、再度ヘドバンを繰り返す。ライブだ、ライブっぽい。昭仁ひとりだけなのに、いつも楽しいポルノのライブに連れてきてもらったような気持ちが出て来た。
ギターが刻むのは
踊り子のステップ
銀の髪飾りを揺らしながら
どこへと我をいざなう?
呼び合う Soul&Soul
画面越しだけれど、確かな熱量。昭仁の魂と、私たちの魂がぶつかり合っている。
かっこいいアーティストと、それに憧れるファンという関係でありながらも私たちはどこか対等で、時にはファンが親のような目線を見せるときがある。
この演奏をみながら、ずっと「首大丈夫かな?」と思っていたが、同じように思っている人が多かったようだ。
振替公演終わりました。ありがとうございます。
体調不良で公演を度々中止、延期にする僕が悪いんだけど、身体弱いキャラはイヤだ。
ヘドバンして大丈夫?とかそういうコメントが割と多くあったので一応言うときます。
僕は強い子です。岡野昭仁
— DISPATCHERS (@dispatcherssstv) September 29, 2020
ちなみに、ヘッドバンキングが「ネットバンキング」に聞こえるという声もあがっていて、爆笑する様子を見せた昭仁。
次のライブでもやって下さいという声に対し、「新藤が怒ると思う」という冷静なコメントと共に、「ヘッドバンキング出来る曲は作ってみたいね。」と胸が高鳴る一言も飛び出した。
本来ならばこれで終わりだったが、禊という事でもう一曲すると語り、ついに振替ライブもラスト1曲になった。
- ハネウマライダー
ポルノグラフィティというBig Machineに乗り、ずっと音楽を聴かせてもらってきた。降りたいと思ったことは一度もない。ずっと新鮮な気持ちで楽しませてくれたし、これからも降りるつもりもない。
最後は明るい気持ちにさせてくれるのが、昭仁らしい、そしてポルノらしい。
みなさんありがとうございました。
元気でまた会いましょう。岡野昭仁 fromポルノグラフィティでした。
そうだ、この人は大好きなバンド、ポルノグラフィティのボーカルだということを最後にあらためて噛みしめた。
最高の弾き語りライブに涙し、12月はここに相方であるクールなギタリストが加わり、強力なサポートメンバーが加わり、一年以上ぶりに音を奏でる。楽しみでしかない。一日も早くその日がやってきて欲しい。
そしてその時には収束への未来が少しでも見えていて、新しい世界の「前夜」になっていることを願ってやまない。
【THANK YOU!!】#ラブシャ のオンラインイベント
「SWEET LOVE SHARE」#ラブシェ#ポルノグラフィティ(@pg_koushiki )
岡野昭仁さんの振替公演が終演致しました。
ご視聴頂きありがとうございました✨岡野さんの #スペシャ 配信番組「DISPATCHERS」(@dispatcherssstv )もぜひチェックして下さい! pic.twitter.com/Cpawygh2hd
— SWEET LOVE SHOWER (@sls_sstv) September 29, 2020
【セットリスト】
M1 メリッサ
M2 Zombies are standing out
M3 青春の影(カバー)
M4 前夜
M5 オー!リバル
M6 ハネウマライダー
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